生成AIを使い始めた一級建築士の正直な話|時間は減らない、でも提案は変わった(常滑市の設計事務所)
2026/10/02
昨日も北潮見の西側をウォーキングしました。最近お気に入りのコースで、ずっと遠くに伊勢湾を眺めながら歩きます。手前では稲穂が育っていて、米もそろそろ収穫の時期かな、という感じです。手前に田んぼがあって、遠くに海が見え、空が見え、船が見え、鈴鹿山脈が見える。そんな風景のところを歩いています。ちょっと肌寒くなってきましたが、そのぶん空気が澄んでいて、伊勢湾の向こうの山並みがきれいに見えていました。船も。

今日は、そんな景色とはずいぶん違う、パソコンの中の話を書いてみたいと思います。
常滑の設計事務所でも、生成AIを使い始めました
エスサイクル設計は、常滑市で一級建築士の私が直接お客様を担当する設計事務所です。その事務所で、ここ半年ほど、生成AIを仕事に使っています。使っているのは「Claude Code(クロード・コード)」と「Codex(コーデックス)」という2つの道具です。どちらも、ふつうの文章で頼みごとをすると、パソコンの中で作業を進めてくれます。生成AIというと、大きな会社やIT企業の話のように聞こえるかもしれません。けれど今は、地域の設計事務所でも使える時代になっています。以前のブログで、船の図鑑アプリをAIで作った話を少し書きましたが、今回はちゃんと仕事の話です。使い始めたのは、AIに大きな可能性を感じたことと、この数年で建築の環境もかなり変わると思っているからです。
正直なところ、時間はそれほど減っていません
AIを使えば仕事がぐっと楽になる、という話をよく聞きます。ところが、私の実感では、お客様へのプレゼン資料の作成の時間はそれほど減っていません。なぜかというと、AIに頼めることが増えると、あれもこれもとアイデアが出てきて、そのぶんお客様へのプレゼンが充実していくからです。
お客様に見せられるものが増えました
時間は減っていない。それでも、使ってよかったと思っていることがあります。お客様に見せられるものの質と量が、確かに上がったことです。ここからは、その中身を3つ書いてみます。
外観パース・内観パースまでそろえて提案できるようになりました
基本的に最初のプランは平面図と立面図を手で描いています。いろいろなアイデアを、すぐに描き直せるからです。描いては消し、描いては消し。プランを考えるときは、頭に浮かぶスピードに、CADではまだまだ追いつかないんです。だから今でも手描きです。その手描きの図面は、私の頭の中では立体で浮かんでいるのですが、それをAIに読み込ませると立体的にパースで表現してくれます。パースとは完成した家の姿を絵にしたものです。外観パースは家を外から見た姿、内観パースは部屋の中から見た姿です。図面は線と記号の世界なので、建築士には分かっても、見慣れていない方にはなかなか想像しにくいものです。AIの力を借りるようになって、内観パースと外観パースまでそろえて、お客様に分かりやすく提案できるようになりました。特に外観パースは、自分で見ても分かりやすかったと思います。屋根のかたち、窓の並び、外壁の色。図面を何枚も並べて説明するより、一枚の絵の方が、家の姿がすっと入ってくるのかもしれません。



図面どうしの食い違いを見つけやすくなりました
家の図面は1枚ではありません。平面図、立面図、断面図、展開図など、20枚程度の図面で一つの家を表します。同じ窓が、平面図にも立面図にも出てくる、という具合です。だから、どこかを直したときに別の図面を直し忘れると、図面どうしで食い違いが出ます。たとえば、平面図では窓の幅を変えたのに、立面図は前のままになっている、といった種類のものです。こうした食い違いは、人の目だけで探すとどうしても見落としが出ます。AIに図面どうしを照らし合わせてもらうと、気になるところを拾い出してくれるので、見つけやすくなりました。もちろん、拾い出された箇所が本当に間違いかどうかは、最後に自分で確かめます。食い違いが現場に行く前に見つかれば、直すときに困ることも少なくなります。
ホームページの「AIはるさん」に、夜でも気軽に質問できます
もう一つ、最近始めたのが、ホームページの「AIはるさん」です。ホームページの右下に私の似顔絵のアイコンがあって、そこから質問を書き込むと、AIが答えてくれます。自然素材のことや、家づくりの進め方のことなど、ちょっと聞いてみたいことがあれば気軽にどうぞ。
設計事務所に電話をかけるのは、なかなか勇気がいるものだと思います。まだ何も決まっていないのに聞いていいのかな、と迷う方もいらっしゃるかもしれません。本当は、気軽に聞いてもらえたらうれしいのですが。AIはるさんなら、夜でも、子どもさんが寝たあとでも、気軽に質問できます。ただし、答えているのはAIで、私本人ではありません。金額や工期のように、家ごとに違うことは、最後は本人に聞いてもらうように、AIはるさんにも伝えてあります。

建築士の仕事はAIでなくなる?道具は変わっても、家を考えるのは人です
「建築士の仕事はAIでなくなる」という話もよく目にします。正直なところ、量産メーカーのような規格住宅では、建築士の仕事はかなり減っていくと思います。決まった型から選ぶ家づくりは、AIの得意なところですから。
けれど、住むことに想いがある方の家づくりは、AIでは対応できないと思っています。
例えば、海が見える敷地なら、どの窓を大きく開けて海を見せるのか。お隣の木々や遠くの山並みを、借景としてどう取り込むのか。風はどう抜けるのか。光はどう入るのか。
風の流れには地域性があります。同じ常滑市内でも、海沿いと丘の上では吹き方が違います。光の入り方も、隣に建物があるかどうかで全然違ってきます。こうしたことは、図面の上だけでは分かりません。実際にその土地に立って、環境を見て設計する。遠い将来はAIにもできるようになるかもしれませんが、ここはなかなか人間のようにはいかないと思います。
職人さんの手の話は、以前こちらにも書きました。
常滑市や知多半島で家づくりを考えている方は、まずはAIはるさんに、ちょっと質問してみるのもいいかもしれません。そして土地のことは、ぜひ一緒に見に行きましょう。道具は変わっても、家を考えるのは人。AIは道具として、うまく使っていけたらと思っています。
常滑市・知多半島で自然素材の家づくりに興味がある方、ぜひ一度モデルハウスを見に来てください。営業は一切しません。見るだけでも大歓迎です。
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ではまた!