猛暑でエアコンが効かない原因は室外機?|30万円で買い替えた建築士が考えた「頼りすぎない家」(常滑市)
2026/10/11
久ぶちの畑に行けました。午後からエゴマの畝の草取り。エゴマは今年初めて作りました。長男がエゴマ油を作るというので、それならと畑に植えたのです。ところが、今年は全然畑の手入れができんかった。草を抜きながら、何度もそう思いました。畑というのは正直なもので、手をかけなかった分だけ、そのまま草の高さになって返ってきます。
草を抜きながら、この夏のことを思い返していました。思い返すと、今年の夏は暑さに振り回された夏でした。そんな話をしたいと思います。
今年の夏、事務所も自宅もエアコンが効かなくなりました
7月の下旬、事務所のエアコンが壊れました。猛暑の真っただ中です。めちゃくちゃ暑い。事務所の中は39.5℃。滴る汗をぬぐいながらの仕事で、天然のサウナを何日か味わいました。それだけなら「事務所の機械が古かったのかな」で済んだのですが、同じころ、母の部屋のエアコンも、自宅のエアコンも効かなくなりました。スイッチを入れて風は出るのに、全く涼しくならないのです。3台そろって効かないとは・・まじか、と思いました。
こうなると機械が3台いっぺんにおかしくなるというのは、なかなか考えにくい。だとすると、原因は機械ではなく外の暑さの方にあるのではないか。つまり、猛暑で室外機が能力の限界にきているのではないか。そう考えて、少し調べてみました。
エアコンが効かない原因は、室外機の限界?
エアコンという機械は、部屋の中の熱を集めて、室外機から外に捨てています。外の空気が熱ければ熱いほど、熱を捨てにくくなるわけです。
エアコンは、国の規格(JIS)で、外気温43℃で動くことが求められています。ところが、ここ数年の猛暑を受けて、メーカーは想定する外気温を引き上げてきました。報道によると、三菱電機は2017年度までの43℃を、2018年度に46℃、2020年度に50℃へ。日立も2019年に46℃、2020年に50℃へ。ダイキンは約5年前に「最近の気温上昇を考えて」50℃に引き上げたそうです。たった数年で、想定する暑さがぐんと上がったわけです。
それでも、最近の機種のカタログには「冷房能力を保証するものではありません」とも書いてあって、外気温が35℃から43℃に上がると冷房の能力が下がることをグラフで示しています。つまり、止まりはしないけれど、効きは落ちる。しかも室外機の周りは、直射日光が当たると外の気温よりさらに熱くなります。
我が家の自宅と母の部屋のエアコンは、どちらも10年以上前のものでした。最初は故障かと思いましたが、今思えば、43℃までを想定していたころの機械が、今の猛暑に追いつけなかった。故障というより、性能不足だったのだと思います。
ただ、この経験で分かったこともあります。「効かない」と感じたときに、機械が壊れているのか、外の暑さに負けているだけなのかは、素人目には見分けがつきにくいということです。メーカーも、エアコンを安全に使える期間の目安は10年としています。室外機の周りに物を置いて風の通りを邪魔していないか、フィルターが詰まっていないか、そんなところを確かめても効かないなら、早めに業者さんに見てもらう方がいいと思います。真夏の盛りは、待っている時間の暑さがなかなかこたえます。
「何畳用」の目安が、今の家に合わない理由
買い替えるとなると、次は「何畳用にするか」です。カタログには「14畳用」「18畳用」と畳数が書いてあります。JIS規格で、木造・南向き・洋室の平均的な住宅を想定して決められています。メーカー自身が、天井の高さや窓の大きさ、方角、日当たり、断熱性で適した畳数は変わる、と注意書きをしているくらいです。
これはつまり、同じ18畳の部屋でも、西日がまともに入る部屋と、軒が深くて日が遮られている部屋では、必要なエアコンの力が違うということです。畳数だけでは決まらない。この話は奥が深いので、別の機会にあらためて書こうと思っています。
自宅のエアコンを18畳用に買い替えました
結局、自宅には18畳用の新しいエアコンを入れました。効かなくなってから3日後に取り付けてもらえて、涼しい部屋に戻れたのはありがたい。ただ、ほとんど使っていないエアコンに払った金額は30万円!
事務所の方は、さらに1週間ほど待って、やっとエアコンが付きました。7月の下旬に壊れて、自宅が3日後、事務所が約2週間後。お値打ちなものは待つ時間も長く、その2週間はエアコンのない事務所で仕事をしてみて、仕事場の暑さというのは能率にそのまま響くものだなと、身をもって知りました。
そして30万円を払ってみて、あらためて考えたことがあります。この30万円は、機械の値段であると同時に、「家が受ける暑さの量」の値段でもあるのではないか、ということです。家がどれだけ暑さを受けるかで、必要なエアコンの力も、毎月の電気代も変わってきます。暑さを受けやすい家なら、大きな機械を買って、たくさん電気を使って、それでも暑い。暑さを受けにくい家なら、小さな機械で、電気も少なくて、涼しい。あたりまえのことですが機械を選ぶ前に、家の側でできることがあるはずです。
我が家も、この数年でエアコンなしでは暮らせなくなりました
実は4、5年前まで、我が家ではエアコンをほとんど使っていませんでした。つけるのは来客のときだけ。そう話すと、驚かれることもありました。
理由は三つあります。一つは、リビングを2階にしていること。もう一つは屋根です。もう一つは内部を漆喰にしていること。我が家の屋根は石屋根で、屋根裏の空気が循環するつくりになっています。特許も取られている屋根です。石葺きのすき間を風が通って、屋根の熱を自然に逃がしてくれます。カタログの試験結果では、一般的なスレート屋根と比べて、屋根の表面で8.3℃、屋根の下地の裏側で4.9℃低かったそうです(風が吹いているときの値です)。
ところが、ここ数年の猛暑では、さすがに対応しきれなくなりました。今では午後から夕方または寝るまでエアコンをつけていました。それだけ、猛暑の年が続いているということです。今となっては、エアコンを使っていなかったころが考えられません。
頼りすぎない家にするために、設計で先にやること
鎌倉時代の末ごろ、兼好法師が『徒然草』に「家の作りやうは、夏をむねとすべし」と書いています。家は夏を中心に考えなさい、という意味です。700年近く前の言葉ですが、エアコンのない時代の人が、知恵を絞って夏をしのいでいたことが分かります。深い軒、簾、風の通り道、土壁。先人の家づくりには、暑さを「受けない」工夫がたくさんありました。
私が設計するときも、まずそこから考えます。一番効くのは、日射を家の中に入れないことです。窓から入った太陽の熱は、床や壁を温めて部屋の熱になります。それを窓の外で止める。軒や庇を深くして夏の高い太陽を遮る、西日の当たる窓は小さくするか、外側に簾や植栽で日陰をつくる。入ってから冷やすより、入れない方がずっと楽です。
とはいえ、我が家のリビングは、西に伊勢湾を見渡せるので、窓を大きく取っています。西日の窓は小さく、と言っておきながら、自分の家は逆です(笑)。ただ、これは眺めを選んだ結果です。家をリノベーションしたとき、リビング・ダイニングの西側の景観を開放的にしたかったので、夏はかなり暑くなることも分かっていました。そこで窓には熱線吸収ガラスを使っています。それでも、眺めを取れば、その分だけ家が受ける暑さは増えて、エアコンが受け持つ分も増える。窓の大きさは、何を優先するかの判断なのだと思います。
次に、風の通り道です。常滑は伊勢湾に面していて、海からの風が入ります。風上と風下に窓を取って、家の中を風が抜けるように計画しておくと、エアコンを使わずに済む時間が増えます。我が家も風の通り道は確保しているので、猛暑の今年でも、寝るときはエアコンを使っていません。朝晩の涼しい時間に風を通して、昼の暑い時間だけエアコンに手伝ってもらう。そのくらいの付き合い方が、機械にも体にも無理がないように思います。
それから屋根です。夏に一番熱を受けるのは屋根なので、屋根の断熱はしっかりやります。うちでは二重断熱を標準にしています。ここは私も、高気密高断熱を売りにする会社と同じ考えです。ただ、家を魔法瓶のように閉じ切ることだけが答えだとは思っていません。漆喰や無垢の木のように、湿気を吸ったり吐いたりする素材で囲まれた部屋は、同じ温度でも体感がさらっとしています。カタログの試験結果でも、内装をビニールクロスにした部屋と漆喰にした部屋で、夏の冷房の電気を6日間測ったところ、漆喰の部屋の方が約16%少なかったそうです。日射を遮り、風を通し、屋根を断熱し、素材で湿気を整える。その上で、足りない分をエアコンに頼る。順番はそれでいいのではないかと思っています。
常滑・知多半島で家を考えている方へ
今年の夏、30万円を払ってエアコンを買い替えて、私が学んだのはこういうことでした。エアコンの力を大きくすることと、家が受ける暑さを小さくすることは、同じ涼しさに向かう二つの道です。けれど、片方は買い替えるたびにお金がかかり、もう片方は最初の設計で決まったら、その後ずっと効き続けます。
常滑市や知多半島で家を建てるときも、窓の向きや屋根、風の通り道を一緒に考えておくことで、その後に必要なエアコンの力も、電気代も変わってきます。
機械に頼りきるのではなく、先人の知恵と自然の力を先に借りて、足りないところだけ機械に手伝ってもらう。そういう家の方が、暮らす人も心豊かに過ごせる気がします。畑の草取りも、来年はもう少しこまめにやろうと思います(笑)。
常滑市・知多半島で自然素材の家づくりに興味がある方、ぜひ一度モデルハウスを見に来てください。営業は一切しません。見るだけでも大歓迎です。
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ではまた!