実家をリフォームか、建て替えか|古民家は直せます。けれど「安く済む」とは限りません(常滑市の改修工事・一級建築士)
2026/11/06
よく晴れた日でした。常滑市で進めている古い家の改修工事で、新しい基礎のコンクリートを打つ日です。朝から職人さんが6人。コンクリートを運ぶミキサー車が入って、打設が進んでいきます。
ただ、この日を迎えるまでに、ひとつ困ったことがありました。ミキサー車が入れない場所があるのです。古い家は、昔の道幅に合わせて建っています。今の大きな車が通ることなど、建てた当時は考えていません。図面には、ミキサー車の幅までは描いてありません(笑)。そこで、畑の持ち主の方にお願いして、畑の端を50センチほど削らせていただきました。応じてくださって、本当にありがたい。この50センチが無いと、ミキサー車が通れなかったのです。

古民家は、直せます
この家の工事は、9月の解体から始まりました。天井を取り払うと、太い梁が現れました。浴室の上の梁はシロアリに食べられていました。床を剥がすと、コンクリートのところもあれば、石を据えただけのところもある古い基礎が出てきました。
古民家リノベーションの実例|解体して分かったこと、残すと決めたもの
あれから2か月。今は、家の足元を新しく造り直しているところです。10月の下旬には鉄筋を組んで、土台を基礎に留めるための金物(アンカー)を据える工事があり、ご近所にもご挨拶に回って、ガス・給排水・電気・サッシの業者さんと、現場で打合せをしました。一歩ずつ進んでいます。

ですから、まず最初に申し上げておきたいのは、古い家は直せる、ということです。実家をリフォームして住むことは、できます。昔の大工さんが組んだ太い梁は、乾いていれば、まだ百年でも働いてくれます。常滑市や知多半島には、こういう家がまだたくさん残っています。壊すしかないと思い込んで、壊してしまうのは、もったいないなと思います。
けれど、基礎を直すにはお金がかかります
ここからが、今日いちばんお伝えしたいことです。
古い家を長く住める家にしようと思うと、たいてい足元の工事が要ります。石の上に柱が載っているだけの家を、床をはがして、土を掘って、鉄筋を組んで、コンクリートを打つ。建物が上に載ったままですから、新築の基礎工事より、ずっと手間がかかります。冒頭の畑の50センチの話も、そのひとつです。ミキサー車が入れる道を用意するところから、工事は始まっているわけです。
リノベーションなら安く済む、と思っていらっしゃる方は、ご提案の金額を見て驚かれることがあります。壁や床の仕上げだけを替えるのであれば、確かに新築よりずっと安い。ところが、基礎から直す改修は、そういう工事ではありません。金額の目安については、以前にこんな記事も書いています。
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実家をリフォームするか建て替えるか。決めるのは、お金より思い入れです
では、実家をリフォームするか、建て替えるか。どちらがいいのか。私の考えはこうです。
建物に思い入れがある方には、直すことをお勧めします。おじいさんが建てた家、自分が育った家。そういう家は、新しく建て替えてしまえば、二度と戻りません。基礎を直す費用は、その記憶ごと家を次の世代に渡すための費用だと思えば、納得のいくお金の使い方になるのではないでしょうか。
反対に、安く済ませたいという気持ちが一番にある方には、基礎から直す改修はお勧めできません。これは意地悪で言っているのではなくて、途中でつらくなる工事だからです。その場合は、建て替えを考えるか、あるいは仕上げだけを直す小さな改修にとどめるか、別の道を選んだほうが、気持ちよく暮らせると思います。安さを求めて始めた工事は、手間がかかるたびに苦しくなります。思い入れがあって始めた工事は、手間がかかるたびに家が愛おしくなります。同じ工事でも、始める気持ちで、まるで違うものになるのです。
ですから、実家をどうしようか迷っている方には、金額を調べる前に、ひとつだけ自分に聞いてみてほしいと思います。この家に、残したいものはあるだろうか。その答えが「ある」なら、直す道を本気で考える価値があります。「特にない」なら、無理に直さなくていい。どちらも、間違いではありません。
次の一歩|壊すと決める前に、一度見せてください
常滑市や知多半島で、実家や古い家をどうするか迷っている方。壊すと決める前に、建て替えと決める前に、一度、中を見せていただけたらと思います。直せる家なのか、直すとしたらどこに手間がかかるのか、建物に思い入れがあるのか。一緒に見て、正直にお話しします。直さないほうがいい、建て替えたほうがいい、と正直にお話しすることもあります。
畑を50センチ削らせてもらって打った基礎の上に、これから新しい暮らしが組み上がっていきます。基礎を直すには、お金がかかります。それでも、建物に思い入れがある方には、私は直すことをお勧めします。安く済むからという理由で選ぶなら、お勧めしません。それだけは、正直に申し上げておきたいと思います。
常滑市・知多半島で自然素材の家づくりに興味がある方、ぜひ一度モデルハウスを見に来てください。営業は一切しません。見るだけでも大歓迎です。
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ではまた!