一般住宅の1/6。無添加住宅が「脱プラ住宅」と呼ばれる理由

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一般住宅の1/6。無添加住宅が「脱プラ住宅」と呼ばれる理由

2026/08/22

少し前の話ですが、6月に大阪で開かれた無添加住宅の代理店総会に行ってきました。年に1度全国の無添加住宅の加盟店が集まる会です。

いろいろ聞いてきた中で、驚いた数字がありました。633kg。無添加住宅は一般的な住宅にくらべて、一棟あたりこれだけプラスチックの使用量が少ないのだそうです。ポリ袋にすると、63,400枚分。総会で示された数字では、一般住宅のおよそ6分の1になるということでした。

正直に言うと、私が驚いたのは減らせる量のほうではないんです。普通に家を一軒建てると、それだけのプラスチックが壁の中に入っている。そっちのほうでした。設計を長いことやってきてかなりプラが入っていることは知っていましたが、数字を聞くとそんなに入っているんだなと改めて驚かされました。


レジ袋は減らしたのに、家は

この十年ほどで、暮らしの中の脱プラはずいぶん進みました。レジ袋は有料になって、マイバッグが当たり前になって、ストローも紙になりました。ペットボトルを減らそうと、水筒を持ち歩いている方もめちゃ増えましたね。ところが、そうやってポリ袋を一枚ずつ減らしている一方で、家を一軒建てると六万枚分が一気に入ってくる。この落差はなかなかのものだと思いませんか。

責めているわけではないんです。私も設計者として、長いあいだこの数字を意識していませんでした。なぜかというと、住宅のプラスチックは住んでいる人からは見えないところに入っているからです。壁の中、床の下、天井裏。完成したら二度と目にしない場所ばかりなんです。


家のどこにプラスチックが隠れているか

壁の中から順に見ていきます。まず断熱材ですね。発泡プラスチック系のものはそのままプラスチックですし、グラスウールを使っていても袋がポリエチレンです。それから接着剤。合板もフローリングも建具も、あらゆるところで使われていますが、これは石油から作られた樹脂です。さらに防湿シート。壁の中の湿気を止めるために、家全体をポリエチレンのフィルムで包みます。文字通り、家がビニールに包まれている状態なんですよね。

仕上げ材も同じです。日本の住宅の壁の大半はビニールクロス。名前のとおり塩化ビニルですね。床材も、木目がプリントされた樹脂シートを貼ったものが主流になりました。ちなみに、あの木目はプリントです。本物の木の写真をもとにした柄を印刷して貼ってある。こうして並べていくと、家というのは石油製品の集合体だったんだと、改めて思いました。


なぜ、うちの家は減らせるのか

無添加住宅で建てると、この一つひとつが別の素材に置き換わります。壁は漆喰。原料は石灰石で、もとをたどれば大昔の海の生き物の殻です。床は無垢の木。接着剤は化学樹脂ではなく天然のにかわを使います。断熱材はコルクを炭にしたもの。自然の素材を選択していったら、プラスチックが6分の1になったということです。

面白いのは順番だなと思っていて、脱プラを目標にして素材を選んだわけではないんです。体に入れたくないものを外していったら、結果的に地球にも負担をかけない。だから我慢して環境に配慮しているのとは違います。漆喰の壁は気持ちがいいから使っている。無垢の床は足で触って心地いいから使っている。その延長線上に、たまたま633kgがありました。

そういえば、うちの家に入られたお客様によく言われることがあります。「いい匂いがしますね」。あれは木の匂いで、要するに石油の匂いがしないということなんですね。ビニールクロスの家に慣れていると、無臭のほうが普通になっている。だから木の匂いが際立つんだと思います。ありがたい感想だなと、いつも思います。

漆喰の壁と無垢の床のリビングダイニング


日本人は、木を借りものとして扱ってきた

この数字を見ていて、思い出したことがあります。

昔の木こりや炭焼きの人たちは、山に入るとき、神木に酒と塩を供えて木を伐る承認を得るという習わしを持っていました。伐る前には斧を木に立てかけて、山の神が与えてくれた木を使わせてもらうことへの感謝と、許しを請う。そして伐り終えたあとは、切り株に青木の枝を供えて、木がまた生えてくることを祈ったそうです。 毎回これをくり返していれば、木は自分のものではない、借りているだけだということを、頭ではなく手が覚えていきます。言葉で教わらなくても伝わる。そして未来へ繋がる

そして、その感覚がいまも脈々と過去から現在へつながっているところがあります。伊勢神宮です。大正十二年、一九二三年に、神宮は「神宮森林経営計画」というものを立てました。二百年後の遷宮で使う檜を、自分たちの山で育てるための計画です。宮域林は約五千五百ヘクタール。計画を立てた人も、最初に苗を植えた人も、その檜が社殿になるところは絶対に見られません。今もしっかりつながっていて、二〇一三年の遷宮では、使われた木材の約二十五パーセントがこの山から採れた木でまかなわれました。九十年かけて、四分の一まで来たわけです。伊勢はこの常滑から伊勢湾を挟んだちょうど向かい。百年前に植えられた木がいま静かに育っています。

ちなみに私も、新築で材木屋で木を確認するとき、心の中で「100年は頑張ってちょー」と言っています。木に話しかけとるわけです(笑)。ただこれが結構本気でして、百年は最低もたせたいと思っているんです。私たちが今使っている柱の杉も、五十年ほど前に誰かが植えた木です。自分では使えないと分かっていて植えてくれたものを、借りて使わせてもらっている。だったらそれくらいは応えたい。壁の中に何を入れるかを決めるとき、この感覚があるかないかは、けっこう大きいと思うんです。

材木屋に積まれた梁材の木口


五十年後、百年後に、何が残るか

家はいつか解体されます。ビニールクロスも、樹脂のフローリングも、発泡断熱材も、解体すればそのままごみです。土に還りません。つまり私たち作り手が使った分は、そっくりそのまま、次の世代が片づけることになります。

一方で漆喰は、もとの石灰石に戻っていきます。無垢の木は、燃やしても土に埋めても自然に還る。建てるときに気持ちがいいだけでなく、終わり方まで穏やかなんです。それに無垢の木は傷がついても、その傷ごと使い続けられます。表面も中身も同じ木だからです。樹脂シートを貼った床だと、表面が剥げたら取り返しがつかない。ここは結構大きな差なんですよね。

借りたものを、次に渡せる状態で返す。素材を選ぶというのは、そういうことでもあります。


常滑で家を考えている方へ

私はこの常滑で、自然素材の家をつくっています。

脱プラのために家を建ててください、とは言いません。家は家族が幸せに暮らすためのものです。ただ、健康のために素材を選ぶこと、環境・未来のために素材を選ぶことが、住宅の場合はまったく同じ方向を向いている。これは知っておいていただきたいことのひとつだと思います。

子どもさんのアトピーが気になる。新築の匂いが苦手だ。そういう理由でご相談に来られた方に、私はいつも同じ素材の話をします。そしてその選択はそのまま、その子どもさんが大人になったときの地球への贈り物にもなります。



常滑市・知多半島で自然素材の家づくりに興味がある方、ぜひ一度モデルハウスを見に来てください。営業は一切しません。見るだけでも大歓迎です。

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