15年前に建てた家を訪ねて|家のメンテナンスをしないとどうなる?自然素材の答え

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15年前に建てた家を訪ねて|家のメンテナンスをしないとどうなる?自然素材の答え

2026/04/18

先日、奈良の丹生川上神社に行ってきました。

今年は丙午(ひのえうま)の年。四柱推命では火のエネルギーがとても強い年にあたるので、それを鎮めるために「水」にゆかりのある神社を参拝しようと行ってきました。丹生川上神社は水の神様を祀る神社で、上社・中社・下社の三社があります。せっかくなので、全部巡ってきました。

山あいの静かな場所に佇むお社を前にすると、日頃の忙しさを忘れて、自然と心が落ち着いていきます。忙しくなると心のゆとりがなくなってしまいます。そういう時にこそ、心にゆとりを持たせることって大事だなと改めて感じました。


15年ぶりに訪ねた、最初のお客様の家

先日、うちで初めて注文住宅を建てさせていただいたお客様のお宅に伺ってきました。建ててからもう15年になります。

ご連絡をいただいたのは、「外壁が少し汚れてきたので見てほしい」というご相談でした。それ以外にも、家のメンテナンスが必要なところがないか、ひと通りチェックしてきました。

玄関を開けて中に入った瞬間、思わず「おお……」と声が出ました。

15年経っているのに、本当に丁寧に使われているんです。床も壁も、きれいに手入れされていて、「この家を大事にしてくれているんだな」というのが伝わってきました。正直に言って、感激しました。


家族が変わっても、家はそこにある

もうひとつ、嬉しかったことがあります。

15年前に家を建てたときは、まだお子さんはいませんでした。それが今回訪ねたら、お子さんが2人。ご主人にも貫禄がついていて(笑)、「ああ、この家族と一緒に、この家も15年の時間を過ごしてきたんだな」と、しみじみ感じました。

家って、建てた日が一番きれいなわけじゃないんです。家族がそこで暮らして、笑ったり泣いたり、子どもが走り回ったり。そういう時間が積み重なっていくことで、家は本当の「家」になっていく。

子どものいなかったご夫婦が、15年後には4人家族になっている。その変化を見届けてきた家。15年間、大切に使ってくださったその家を見て、改めてそう思いました。


家は、家族の記憶が積み重なる器

ふと、あることを思い出しました。

うちにも昔、祖父の形見のボンボン時計が飾ってありました。なかなか渋い時計で、家にあるだけで「カチ、コチ」と静かに時を刻んでいた。新品じゃない。ピカピカでもない。でも、あの時計には何十年もの時間が詰まっていました。

家も同じだ。

子どもが柱に背丈を測った傷。リビングの床についた小さなへこみ。庭の木が少しずつ大きくなっていく。そういう一つひとつが、その家だけの物語になっていく。

家は、家族の記憶が積み重なる器なんです。


なぜ日本の家は30年で壊されるのか

ヨーロッパに行くと、100年、200年前の家に普通に人が住んでいます。古い石造りの壁、年月を経た木の梁。時間が建物に「味」を足している。誰も「古いから壊そう」なんて思わない。

日本にも、何百年と生きている古民家があります。黒光りした梁の迫力は、工業製品には絶対に出せません。

なのに、現代の日本の住宅は平均して30年ほどで壊されてしまう。家族の記憶が詰まった家が、更地になって消えてしまう。

なぜか。理由はひとつじゃありません。

まず、素材の問題。ビニールクロス、合板フローリング、化学系の接着剤。こういった素材で建てた家は、時間が経つと「劣化」します。色があせる、表面がめくれる、継ぎ目が浮いてくる。15年もすれば「古くなったな」と感じて、家のメンテナンス費用をかけて張り替えるか、「いっそ建て替えよう」となる。使い捨ての素材で建てるから、使い捨ての家になるんです。

次に、資産価値の問題。日本では木造住宅の資産価値は約22年でゼロになると言われています。帳簿の上では「価値がない」。そうなると「古い家を直すより、壊して新しく建てた方がいい」という判断になりやすい。家そのものはまだ住めるのに、制度が「壊す方向」に誘導してしまっている。

そしてもうひとつ、記憶に対する考え方。もしかすると私たちは、家に記憶を残すということを、あまり大切に思わなくなっているのかもしれません。便利で新しいものが次々に出てくる時代だから、古いものを手入れして使い続けるより、新しく買い替える方が合理的に見える。でも、家族が何十年と暮らした家には、お金では測れない価値があるはずです。

家族の記憶ごと、更地にしてしまっていいのか。私はいつも、そう思ってしまうんです。


自然素材の家は、時間が経つほど味わい深くなる

では、家のメンテナンスをしないとどうなるか。これも素材によってまったく違います。

化学建材の家は、放っておけば劣化するだけです。

でも、自然素材の家は違います。

無垢材のフローリングは、年月が経つと深い飴色に変わっていきます。最初は白っぽかった木が、家族の暮らしとともに少しずつ色づいていく。傷がついても、それが「味」になる。良い革靴や鞄と同じです。手入れをするほど、深みが増していく。

今回訪ねた15年目の家も、まさにそうでした。新築のときとは違う、時間が作り出した深みがある。あの家は「古くなった」んじゃない。「味わい深くなった」んです。

これが、経年「劣化」と経年「美化」の違いです。


メンテナンスは「やり替え」ではなく「手入れ」

自然素材の家のメンテナンスは、化学建材の家とは考え方が違います。

化学建材は劣化したら「やり替える」しかありません。クロスを貼り直す、フローリングを張り替える。そのたびに家のメンテナンス費用がかかります。

自然素材は「手入れ」です。無垢の床にオイルを塗ってあげる。汚れがついたら、やさしく磨いてあげる。革靴を磨くのと同じ感覚ですね。手をかけた分だけ、味が出る。

家のメンテナンスをしない人が増えている、という話を聞くことがあります。でも、自然素材の家に住んでいると、不思議と手をかけたくなるんです。

今回のお客様が15年間、丁寧に家を使ってくださっていたのも、きっとそういうことなんだと思います。


建てた後こそ、本当のおつきあい

「生涯に渡っておつきあい」です。

家を建てて、お引き渡しをした日がゴールじゃない。むしろ、そこからがスタートだと思っています。

外壁が汚れてきたら見に行く。屋根の具合が気になったらチェックする。お子さんが大きくなって部屋の使い方が変わったら、一緒に考える。そうやって、家の一生をそばで見守っていく。

大手のハウスメーカーさんだと、担当者が異動で変わったり、定期点検はあっても「あの時の人」がもういなかったりすることがあります。

うちは小さな設計事務所なので、建てた本人がずっといます。15年前のことも覚えている。あの時どういう想いで設計したか、どこにどんな素材を使ったか、全部わかっている。それが小さな会社の強みだと思っています。


家は建てて終わりじゃない。家族と一緒に時間を重ねて、記憶を積み重ねて、味わい深くなっていくものです。

祖父の形見のボンボン時計のように、何十年も家族のそばにあって、静かに時を刻み続ける。そういう家を作りたい。

新品が一番良いんじゃない。使うほどに価値が増す。傷も汚れも、その家だけの物語になる。日本にはもともと、そういうものを愛でる「侘び寂び」の感覚がありますよね。


次の一歩

「建てた後のことも、ちゃんと面倒見てくれるの?」

そう思われている方は、ぜひ一度モデルハウスに遊びに来てください。15年経った無垢材がどんな色になるのか、自然素材がどう変わっていくのか。実物を見ていただくのが一番早いと思います。

15年、20年、30年。家族と一緒に育てていける家づくりを、一緒に考えましょう。



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