セントラル浄水器のデメリットを建築士が正直に語る|自宅で9年使った本音と後悔しない選び方
2026/05/16
先日、自宅兼モデルハウスのセントラル浄水器のフィルターを、1年ぶりに交換しました。
取り外したフィルターは、今年もまた真っ茶色でした。光に透かす必要もありません。1年でこれだけの汚れを、もしフィルターがなければ家族で毎日浴びていたわけです。蛇口の水・お風呂のお湯・洗濯機の水、全部です。「水道水って、こんなに汚れてるんだな」と、毎年このフィルターを見るたびに、改めて思い知らされます。
私の自宅にセントラル浄水器を入れたのは2017年。気がつけば9年使ってきたことになります。今日は、お勧めの立場の建築士が、あえてそのデメリットを正直にお話ししたいと思います。良いところだけ並べる紹介ではなく、本当に必要かを納得した上で選んで頂きたいからです。
結論:セントラル浄水器は良い設備、けれどデメリットも理解してから選んでほしい
先に結論からお話しします。私は無添加住宅を設計する建築士として、お客様にセントラル浄水器をお勧めすることが多いです。けれど、メリットだけお話しして売りつけるような真似はしたくない。デメリットも知った上で、自分の家にとって本当に必要かを納得して選んで欲しいのです。
代表的なデメリットは大きく分けて3つあります。「初期費用とフィルター交換費用」「雑菌繁殖のリスク」「設置スペース」。順番に正直なところをお話しします。
そもそもセントラル浄水器とは? 蛇口浄水器との違い
セントラル浄水器(全館浄水器とも言います)は、家の水道メーター直後に大きなろ過装置を取り付けて、家中の水を一括で浄化する設備です。台所の蛇口だけでなく、お風呂のシャワー・洗面所・洗濯機・トイレ・ウォシュレットまで、すべての蛇口から塩素や不純物を除いた水が出てくるイメージです。
対して、蛇口の先に取り付ける小型の浄水器はキッチンの水しかカバーできません。「飲み水だけ気にすれば良い」と思われがちですが、実は塩素やトリハロメタンの影響は、口から飲むよりも、お風呂やシャワーで湯気として呼吸から吸い込んだり、皮膚から吸収する方がはるかに大きいのです。日本薬学会では「浴室の空気中のトリハロメタン濃度は、台所や居間の30倍以上にもなる」と報告されており、1986年の米国化学学会でも「シャワー・入浴での吸入と皮膚吸収の合計は、飲水と比較して数倍から数十倍にも達する」と発表されています。これがこのあとお話しする「経皮毒」の話につながります。
ちなみに日本の水道水は世界でもトップクラスに安全と言われています。ただ、それは「飲んで死なない」レベルの安全であって、塩素・トリハロメタン・農薬・カビ臭・溶解性鉛など、13物質ほどが水道水質基準の対象となっています。さらに2026年4月からは、PFAS(ピーファス、有機フッ素化合物)が水道水質基準項目に正式に格上げされました。これまで暫定目標値だったものが「守らないといけない基準」に変わったわけです。
PFASは「永遠の化学物質(フォーエバー・ケミカル)」と呼ばれ、自然界でも人体内でも分解されません。動物実験では肝臓がん・腎臓がんとの関連が指摘され、免疫機能やホルモンバランス、特に妊娠中や小児への影響も懸念されています。2024年度の全国調査では、26都府県の629地点で目標値を超える検出がありました。決して「どこかの遠い問題」ではないのです。
江戸時代の人たちは井戸水と湧き水で暮らしていましたが、今の私たちは塩素・トリハロメタン・PFASを含む水を、毎日20リットル以上も、口からも、湯気からも、皮膚からも浴びているわけです。
セントラル浄水器のデメリット5つ|9年使った建築士のリアル
デメリット1:設置に約25万円かかる
セントラル浄水器の本体と設置費用は、私たちが採用している「全館浄水器ビューター」(株式会社細大)で材工約25万円です。新築時に同時設置すれば配管工事のロスがないので追加負担も少なく済みますが、それでもキッチン蛇口の小型浄水器(数万円)と比べれば一桁違う買い物になります。最初に見たときは、正直「結構するな」と感じる金額です。
ただ、ここは少し冷静に比べて頂きたいところです。市販のセントラル浄水器には十数万円のお値打ち品もありますが、ろ過対象物質や処理水量で比べると、本気で家族の水を整えるレベルの機種はだいたい25万円前後に集まります。同じ性能帯の中で見れば、むしろお値打ちな部類に入る金額です。安いものを買って後で買い替えになるくらいなら、最初に納得できる機種を選ぶ方が結局はお財布にも優しいと、私は思っています。
デメリット2:フィルター交換に年1回18,000円かかる
本体を買って終わりではなく、活性炭の中身を定期的に交換していく必要があります。私たちが使っているビューターでは、1年に1回、フィルター代が18,000円ほど。10年で見れば18万円。「高い」と感じるか、「家族の健康のため」と感じるかは、価値観次第のところでしょう。私は缶ビール代を少し減らす程度の感覚で続けています(笑)。
救いがあるのは、ビューターのフィルターは工具なしで自分で交換できる仕組みになっていて、業者を呼んで余分な工賃を払う必要がないことです。
デメリット3:フィルター内で雑菌が繁殖するリスクがある
ここが一番見落とされがちで、私が一番大事だと思うポイントです。塩素は確かに体に良くありませんが、雑菌の繁殖を抑える消毒剤としての役割もある物質です。それを取り除いたあとの水は、本来「腐りやすい」状態になります。
特にフィルター内の活性炭は表面積が膨大で、塩素を取った後の水分・有機物がたまりやすい場所です。長期間交換せずに放置したり、長期不在で水が動かないまま夏を越したりすると、フィルターの中で雑菌が増えてしまうことがあるのです。健康のために入れた装置が、逆に菌の温床になっていた、では本末転倒です。年1回の交換と、長期不在後の水流しが大切な理由はここにあります。ビューターのフィルターには抗菌・除菌の処理が施されていますが、それでも「絶対に増えない」ものではありません。仕組みに頼り切らず、年1回の交換習慣が大切です。
デメリット4:設置スペースが必要
本体は一升瓶を太くしたくらいの大きさで、屋外の水道メーター近くか、屋内の配管スペースに置きます。新築時なら設計段階で組み込めますが、リフォームで後付けする場合は配管引き直し・設置スペース確保がやや手間です。マンションは構造的に難しいケースが多く、戸建て向きの設備と言えます。
デメリット5:体感の差に個人差がある
「シャワーが柔らかくなった」「お米が美味しく炊けた」「子どもの肌荒れが落ち着いた」と喜ばれる方が多い一方で、「正直よく分からない」と仰る方もいらっしゃいます。元々水道水のカルキ臭をあまり感じない方、敏感肌でない方は、変化が分かりにくいかもしれません。実際、購入から数年でカートリッジ交換費用を負担に感じてセントラル浄水器をやめる方も、世の中には少なからずいらっしゃいます。
「セントラル浄水器は怪しい」と言われる理由|訪問販売には注意
ネットで「セントラル浄水器」を調べると、「怪しい」「危険」という言葉が一緒に出てきます。これにはきちんと理由があります。一部の業者がエコキュート工事や太陽光と抱き合わせで、訪問販売で100万円以上の高額契約を結ばせるケースがあるからです。
設備そのものが怪しいのではなく、「不安を煽って高額で売りつける営業手法」が怪しいのです。「水道水は危険ですよ」「お子さんのアトピーが治りますよ」と過剰な表現で迫ってくる業者は、設備の良し悪し以前に距離を置いた方がいいです。私たちが扱っている機種が25万円であることを思えば、100万円は明らかにおかしな金額です。
セントラル浄水器自体は、選び方さえ間違えなければ健康的な暮らしを支えてくれる良い設備です。けれど買い物の入り口を間違えると後悔に直結します。新築であれば、設計事務所や工務店と一緒に、複数メーカーをきちんと比較してから選ぶのが一番安心です。
それでも私が無添加住宅でセントラル浄水器をお勧めする理由|経皮毒の話
デメリットを正直に並べた上で、それでもお勧めしている理由をお話しします。鍵になるのは経皮毒(けいひどく)という考え方です。
人間が1日に体に入れる物質の中で、空気は約20kgでいちばん多く、飲食物が約2kg。そして飲食物の半分以上は水分です。固形の食べ物にだけ気を遣って、毎日蛇口から出てくる水を意識していないというのは、本当はとてももったいない話なのです。
そしてもうひとつ、口から入る量より大きいのが「皮膚から吸収される量」です。化学物質の吸収率は皮膚の場所によって大きく違い、直腸(お尻の中)付近は腕の内側の約42倍と言われています。ウォシュレットの水・シャワーで頭皮や陰部にあたる水・お風呂で全身が浸かるお湯。すべて経皮で体に入っていきます。
経皮毒について以前詳しく書いた記事もありますので、もう少し深く知りたい方はそちらもご覧ください。
👉 設計事務所がお勧めする全館浄水器は経皮毒の吸収を抑えます!
特にアトピーや敏感肌の子どもさんがいるご家族には、口から入る水だけでなく、皮膚から入る水も整えてあげて頂きたい設備です。
余談ですが、長男の友達にイギリス出身の子がいまして、その子が家に遊びに来ると「ここの水はおいしい」と言ってくれます。彼はいろんな国を行き来していて、世界中のミネラルウォーターも飲み比べているような子です。自分で毎日飲んでいると、味の良し悪しはだんだん分からなくなってくるものですが、そういう子に太鼓判を押してもらえると、正直とても嬉しく感じます。「日本の水道水はおいしい」と言われることがありますが、ビューターを通したあとの水は、その上をいく口当たりになります。
自然素材で家を建てて、漆喰で空気を整えて、それで蛇口から出る水だけが塩素入り、というのはどうも整合性が取れません。空気と水、両方整えてはじめて、家全体が「体に優しい場所」になると思うのです。
後悔しないために確認してほしい5つのポイント
これからセントラル浄水器を検討される方は、ぜひこの5点をメーカーや工務店に聞いてみてください。
- フィルターの交換周期と年間ランニング費用は具体的にいくらか(自分で交換できるか・工具がいるか)
- 長期不在後に水を動かす方法・雑菌対策はどうしているか
- 10年・20年使い続けた時の総額はいくらになるか
- 本体メーカーが長く事業を続けているか(フィルター供給が止まると装置は無用の長物になります。私たちが選んだビューターは30年以上の実績と純正フィルターの永久無償保証があるのが安心材料でした)
- 除去対象物質に塩素・トリハロメタン・PFASなど主要な汚染物質が含まれているか
特に2つ目の「長期不在後の対策」は、見落とされがちですがとても大事です。お盆や年末年始に1週間家を空けた後、最初に何分か水を流してから使う、といった一手間が必要です。説明されないまま使い始めると、知らないうちに雑菌だらけの水を浴びることになりかねません。
私たちは知多半島の常滑市で、無添加住宅を中心とした自然素材の家づくりをしています。セントラル浄水器を実際に体感してみたい方は、モデルハウスで蛇口から出る水を飲んでみたり、手を洗ってみたりしてください。文字で読むより、肌で感じる方がずっと分かりやすいですから。フィルター交換後の真茶色のフィルターも、ご希望があればお見せします(笑)。
飲食は1日2kg、空気は1日20kg、そして水は毎日肌からも入る。当たり前にあるものほど、たまには立ち止まって見直す価値があると思います。先人たちが大切にしてきた清らかな水の暮らしを、現代の暮らしの中でも形を変えて取り戻したいものです。
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