ヒラタキクイムシの駆除と対策|防虫剤を使わない家でできる、人にやさしい方法

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ヒラタキクイムシの駆除と対策|防虫剤を使わない家でできる、人にやさしい方法

2026/04/30

最近は妻と朝にウォーキングするのが日課になっています。ウォーキングをするのに、早歩きで筋肉にストレスをかけると良いと聞いてから、極力スピードを上げてウォーキングをしています。

けれども早く歩くのに慣れていないため、15分も歩くとふくらはぎが悲鳴をあげます。(笑)第二の心臓と言われているふくらはぎの筋肉を鍛えないといけませんね。

さて今日は、ヒラタキクイムシのお話です。今まで新築を引き渡しをさせて頂いたお客様で1件だけご相談がありました。5月から夏にかけて暖かくなるころに出てきます。お引き渡ししたお客様から「小さな穴が空いて、横に黄色い粉が落ちているんですけど、これはキクイムシですか?」とお問い合わせをいただきました。引き渡し前にもしかしてキクイムシが出るかもしれませんとお客様にはお話をしていますので、あわてず対応をして頂きました。その穴のほとんどがヒラタキクイムシという、4ミリほどの小さな茶色い虫です。

ネットで「ヒラタキクイムシ 駆除」と検索すると、害虫駆除業者さんのページがずらりと並びます。今日は、業者さんとは違う立場から、無添加住宅をつくっている一級建築士として、この虫との付き合い方を正直にお話したいと思います。家づくりを検討されている方、特に自然素材の家に興味がある方には、是非最後まで読んで頂きたい内容です。


無添加住宅の無垢材は、防虫剤も防腐剤も一切使っていません

私たちが扱っている無添加住宅の無垢材には、防虫剤や防腐剤は一切使っていません。これは、ご家族が毎日触れる素材だからこそ徹底しているこだわりです。子どもさんが床に寝転んだり、肌が直接触れるところに化学物質が入っていない。これが無添加住宅を選んで頂く理由のひとつだと思います。

ただ、ここからが正直なお話です。人にとって安全であるということは、虫にとっても安全で住み心地の良いものということでもあるのです。木をかじって生きる虫からすれば、防虫剤の入っていない無垢材ほど住みやすい場所はありません。

「自然素材なのに虫が出るんですか?」と聞かれると、私は正直に「出るときは出ます」とお答えしています。でも、それは失敗でもなければ間違いでもなくて、自然素材の家の正直な姿なのです。

昭和30年代の住宅ラッシュの時に、ヒラタキクイムシの大被害がありました。当時は木材を殺虫剤漬けにすることで被害は収まりました。けれど近年、シックハウスの問題から殺虫成分を減らした建材が増えてきて、それに地球温暖化も重なって、再びヒラタキクイムシの被害が広がっているそうです。皮肉な話ですが、人にやさしい家へ世の中が動いた分だけ、虫にも住みやすくなったわけです。


無添加住宅でも、薬を使わずにちゃんと予防しています

「防虫剤を使わないなら、最初から虫が入っているのではないですか?」と心配される方がよくいらっしゃいます。ここはご安心ください。無添加住宅で扱う木材は、薬剤に頼らずに、物理的な処理で虫と卵を取り除いています。

まず加工前の段階で、高温処理を行います。熱でヒラタキクイムシをはじめとした害虫やその卵を死滅させます。さらに海外から日本に運ぶ時は、冷凍コンテナを使って冷凍殺虫を行います。薬を染み込ませて防ぐのではなく、物理的に殺してから日本に入れる。だから化学物質はゼロでも、納品時に虫が入っているということはまずないのです。

それでも、後から被害が出てしまうことがあります。理由はシンプルで、ヒラタキクイムシは飛べる虫だからです。外から成虫が飛び込んできて産卵すれば、これは防ぎようがありません。窓を開けたら入ってきた、家具と一緒に持ち込まれた、というケースはどうしてもあります。これは自然素材の家でも、合板で作った家でも同じことなのです。


ヒラタキクイムシの駆除に、無添加住宅でお勧めしているのは「ティンボア」

もし発生してしまった場合、害虫駆除業者さんに電話する前に、知っておいて頂きたい方法があります。私たちがお客様にお勧めしているのは、ティンボアというホウ酸塩素化合物の処理剤です。簡単に言うと、ホウ酸団子のホウ素を濃くしたようなものです。

ホウ酸というと「害虫駆除に使うものだから人体にも影響があるのでは?」と思われるかもしれませんが、危険性は塩と同じくらいなんです。万一お子さんが少量口にしてしまっても、腎臓で分解されて体外に排出されます。これを食べた虫が死ぬのは、昆虫には腎臓がなくて分解できないからなのです。よく出来ているなあといつも感心します。

ティンボアは食毒という性質で、虫に直接かけても効きません。木に染み込ませておいて、それを食べた虫の幼虫だけが死ぬ仕組みです。だから市販の殺虫スプレーのような神経毒で即死させるタイプとは全然違います。揮発もしないので、シックハウスの心配もありません。木材保存協会の認定薬剤で、米国では防蟻処理剤として一般的に使われているそうです。

家族が裸足で歩く床に何を染み込ませるか、と考えた時に、即効性のある強い薬剤よりも、塩と同じくらいの安全性で時間をかけて効いてくれる方が、私としては安心してお勧めできます。


ティンボアの施工方法。実はDIYでもできます

ティンボアの施工方法はそんなに難しくありません。準備するものは、ティンボア、雑巾、バケツ、計量器、液体石鹸、それからマスクです。あれば噴霧器もあると便利です。

まず施工する場所のホコリを取ります。次に濡れた雑巾で軽く湿らせておきます。先に木に水分を与えておくと、ティンボアの浸透が良くなるからです。それから水100ccに対してティンボアを10g(重量比10%)入れて溶かします。お湯にすると溶けやすいので私はいつもお湯を使います。さらに液体石鹸を1%くらい加えると、木への浸み込みがもっと良くなります。

あとは雑巾か噴霧器で、木目に沿ってたっぷり塗布します。木材全体を水浸しにするくらいのイメージで多めに塗ってください。水たまりができたら乾いた雑巾で拭き取って、あとは自然乾燥です。

ここで一番大事なポイントは、表面に塗るだけでは効かないということです。幼虫は木の表面から2〜3ミリのところにいますので、そこまでティンボアを浸透させないといけません。「染み込ませる」イメージで、たっぷり塗ってあげてください。これは無垢材だからできることで、合板の場合は表面の塗装に弾かれてしまって中まで届かないんです。

注意点としては、ティンボアは粉ですので調合の時はマスクをしてください。塗った後はしばらく物を置かない方がいいです。乾く前に物を載せるとカビの原因になることがあります。それから木の成分によっては薄い黄色に変色することがありますが、これは時間が経てば馴染んできます。


効果が出るまでは3〜5年。じっくり付き合う薬です

ティンボアは即効性はありません。これは正直にお伝えしておきたいところです。木に染み込んだティンボアを、木の中の幼虫が食べて初めて効きます。表に出ている成虫は基本的に木を食べないので、ティンボアでは死なないんです。

施工してから3年目あたりから明らかに虫の数が減ってきて、5年目には発生しなくなる、というのが一般的なパターンです。「来週には完全駆除!」みたいなスピード感ではありません。これは事実としてお伝えしておきます。

けれどそのかわりに、家族が薬を吸い続けるリスクを抱えなくて済みます。家は60年も70年も住むものですから、お子さんが大人になり、お孫さんが遊びに来るようになる頃まで、ずっと安全な空気の中で過ごせます。短期の安心を強い薬剤で買うか、長期の安心を素材で積み上げるか。30年現場をやってきて、私は迷わず後者を選んでいます。


ヒラタキクイムシのことをもう少し詳しく

ここから先は、ヒラタキクイムシのことをもう少し詳しく知りたい方向けのお話です。お客様の中にはご主人と一緒に家づくりを検討される方も多いので、技術的な背景も書いておきたいと思います。

ヒラタキクイムシは「木喰虫(きくいむし)」の名の通り、木材を食べる昆虫の一種です。乾燥木材の大害虫として知られていて、日本では北海道北部を除いてほぼ全国に生息しています。仲間としては、温帯にいる普通のヒラタキクイムシ、寒冷地でも生きていけるナラヒラタキクイムシ、それから熱帯性で繁殖力旺盛なアフリカヒラタキクイムシの3種類が日本で確認されています。

出てくる時期は4月から8月頃で、特に6月中旬から7月末がピークです。夜行性なので光に集まる性質があります。ですから被害が心配な時は、照明の傘の中とか、サッシのレールあたりに死骸が落ちていないか見てみるとサインが見つかりやすいです。

体長は4ミリ前後、横幅が1〜1.5ミリの細長い茶色の虫です。人を刺したり病気を媒介したりはしません。基本的に木材のでんぷん質を食べるだけなので、ご家族に直接の害はないので、そこは安心してください。


幼虫が木の中でしていること(これがポイントです)

ヒラタキクイムシの被害の主役は、実は成虫ではなくて幼虫です。ここを理解しておくと、なぜティンボアが効くのか、なぜ時間がかかるのかが見えてきます。

産卵は、木材の「道管」というところに行われます。道管というのは、木が生きていた頃に水を運んでいた管のことです。雌の親虫は、木材の表面から産卵管をぐっと差し込んで、内部の道管に直接卵を産みつけます。1匹の雌が産む卵は平均30〜60個と言われています。卵の期間は7〜10日です。

ふ化した幼虫は、もう最初から栄養価の高いえさに囲まれた、保護された環境にいるわけです。木材内部でセルロース(繊維質)はそのまま残しながら、でんぷん質だけを食べてトンネルを掘っていきます。幼虫期間は通常1年ほどですが、木材中のでんぷんが少ないと成長が遅くなって、2年以上、時には3年経ってから成虫が出てくる、ということもあるそうです。

残念ながら、幼虫の段階で被害を発見するのは、専門家が顕微鏡を使ってもなかなか難しいレベルだそうです。だから一般のお客様が早期発見するのは事実上不可能で、成虫が脱出する時の穴と粉(脱出粉と言います)で初めて気づく、というケースがほとんどです。

ティンボアを染み込ませた木を、この幼虫がムシャムシャ食べてくれて初めて効くわけです。効果が出るまで3〜5年かかるのは、幼虫が成長して脱出するタイミングまで待つ必要があるからなんですね。


ヒラタキクイムシが食べる木と、食べない木

幼虫は、木材の中でもでんぷん質だけを食べます。だから木の種類によって、被害の出る・出ないがかなりはっきり分かれます。

よく食べられる木は、でんぷん質が多い広葉樹の辺材、つまり白太と呼ばれる外側の柔らかい部分です。ラワン、ナラ、ケヤキそれから日本ではキリと称して輸入される軽い白木、ゴム材などが該当します。一方、針葉樹(杉・桧・松など)はでんぷんが少なく、ヒラタキクイムシはほとんど食べません。広葉樹の心材(赤身)も同じく被害が少ないです。

無添加住宅の被害報告で一番多いのはシンゴンという材で、次にインドネシア松です。シンゴンは桐に近い軽い材で、お値打ちな上に冬に素足で歩いても暖かい良い素材なんですが、こういうリスクもあるということです。

ちなみに、化学薬剤で固めた家のほうが安心では、と思われるかもしれませんが、市販の防虫剤や防蟻剤は5年から10年で効果が切れます。新築時の保証は10年が標準ですが、その先のことは別の話です。薬が切れた後の家で、また薬を重ね塗りし続けるのか。それとも最初から、人にも虫にも安全な素材で建てて、何かあれば塩と同程度の安全性で対処するのか。家は60年70年と住むものです。長い目で見たときに、どちらが家族にとって良いか、私はやっぱり後者だと思っています。


まとめ|虫が出る前提で、それでも自然素材を選ぶということ

長くなりましたので、ヒラタキクイムシの駆除と対策のポイントをまとめておきます。

無添加住宅は虫が絶対に出ない家ではありません。防虫剤を使わない以上、虫にとっても住みやすい素材だからです。ただし、加工前の高温処理と冷凍殺虫で、納品時には虫はほぼゼロです。それでも飛んでくる成虫の産卵までは、合板の家でも同じように防げません。もし出てしまったら、塩と同程度の安全性のティンボアで、人にやさしくゆっくり駆除する。効果は3〜5年でじわじわ出てくる、ということです。

「自然素材なのに虫が出た。失敗だったかも」と思われる瞬間があったら、この記事を思い出して頂けたら嬉しいです。失敗ではなくて、自然素材の家を選んだご家族にとって、誠実に向き合うべき自然な現象です。むしろ、生きている素材で家ができている証拠だということです。

ご質問やご心配なことがあれば、いつでもお気軽にお声がけください。お客様一人ひとりのお家の状況に合わせて、ご一緒に考えさせて頂きます。


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