新築の匂いが気持ち悪い/しない、どちらも実は空気のサイン|深呼吸したくなる家

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新築の匂いが気持ち悪い/しない、どちらも実は空気のサイン|深呼吸したくなる家

2026/04/25

ゴールデンウィークが目の前まで来ましたね。新緑のもとでぐっと深呼吸すると気持ちがいいですね。肺に清々しい空気が充満するあの感覚。空気を吸って生きていたんだなあと思える季節です。

今日は、その「深呼吸」をきっかけに、新築の家の匂いについてお話ししようと思います。「新築 匂い 気持ち悪い」「新築の匂い いつまで」で検索して、このページにたどり着いた方いるんじゃないかと思います。

結論から言うと、匂いがしない家も、匂いが気持ち悪いと感じる家も、どちらも空気からのサインです。そのサインを、一緒に考えていきましょう。


新築の匂いで家を選ぶ時代は終わった

一昔前、新築といえば「独特のツンとした匂い」がしたものです。ビニールクロスの匂い、接着剤の匂い、合板の匂い。ひどい現場では、玄関を開けた瞬間に目がチカチカする、なんてこともありました。

最近の新築、確かに匂わなくなりましたよね。同業の現場にお邪魔しても、「新築の匂いがしない」と感じる家が増えました。これは建築業界全体にとって、間違いなく大きな前進だと思います。

理由は、低VOC建材やF☆☆☆☆(フォースター)建材の普及です。2003年にシックハウス対策として改正建築基準法が施行され、ホルムアルデヒドの放散量が少ない建材しか使えなくなりました。各メーカーさんも研究を重ね、合板・クロス・接着剤のにおいは減りました。匂いは・・・

けれどこれは本当に健康によいのか?。ただ、ここから先は一級建築士として、少し踏み込んだ話になります。家を建てる方には、知っておいていただきたい話だからです。


F☆☆☆☆は、たった1つの化学物質の話

あまり知られていないのですが、「F」はホルムアルデヒドの「F」です。つまりF☆☆☆☆という等級は、ホルムアルデヒドという1種類の化学物質について、「この建材からの放散量は少ないですよ」と示しているだけの基準なのです。

日本の建築基準法で規制されている化学物質は、ホルムアルデヒド(放散量の制限)とクロルピリホス(使用禁止)の2つだけ。クロルピリホスは、2003年まで家の防蟻剤として普通に使われていた殺虫剤で、体への影響が認められて使用禁止になった物質です。国の室内空気の指針値にしても、対象はたった13物質に限られます。2002年ごろに定められ、大きくは更新されていません。

一方で、建材や家具・内装製品に使われている化学物質は、5万種類を超えると言われています。室内の空気を調べた国際的な研究では、ひとつの部屋の中から同時に50〜数百種類もの揮発性有機化合物(VOC)が検出された、という報告もあります。

13物質と、5万種類。この数字のコントラストが、今の新築住宅の空気の現実です。

F☆☆☆☆の認定を取っていて、法律上は何の問題もない建材でも、「その他の何千、何万という化学物質」は規制の外側にいます。鼻でツンと感じる匂いは、そのうちのごく一部でしかありません。匂いがしないから安全、と言い切れないのは、このためです。


水に溶けるものより、油に溶けるものが危ない

もうひとつ、建築士としてお伝えしたいのが、化学物質の「水溶性」と「脂溶性(油に溶ける性質)」の違いです。

F☆☆☆☆で規制されているホルムアルデヒドは、実は水に溶けやすい化学物質です。水溶性のものは、吸い込んでしまっても汗・尿・呼気と一緒に比較的排出されやすい。もちろん量が多ければ粘膜を刺激しますし、喉の痛みや頭痛を引き起こしますが、体の中に長くとどまるタイプではありません。意外に思われるかもしれませんが、実はまだマシな方の化学物質なのです。

本当に気をつけたいのは、脂溶性(油に溶けやすい)の化学物質のほうです。

脂溶性の物質は、水ではなく油に溶ける性質を持っています。人間の体には脂肪組織がありますよね。ここに、脂溶性の化学物質はすっと入り込み、体の脂肪の中に少しずつ蓄積していきます。排出されにくく、年単位で残る。これが水溶性との決定的な違いです。

そして、住宅の内装には、この脂溶性タイプの化学物質が大量に使われています。代表的なのが、ビニールクロスや塩ビの床材を柔らかくするために入れられている可塑剤(かそざい)という物質です。よく使われているのがフタル酸エステル類と呼ばれる一群で、油とのなじみやすさがとても高く、人間の脂肪にじわじわ溜まっていくタイプです。

この可塑剤は、建材にガッチリ結合しているわけではなく、年月とともに少しずつ空気中へ出てきます。そして床に落ち、ハウスダストと一緒に舞い、呼吸や皮膚から体に入っていく。国際的な研究では、発達・生殖への影響や、ホルモンを乱す働きが繰り返し報告されています。特に赤ちゃん・子ども・妊娠中の方への影響が懸念されている物質です。

日本の建築基準法は、この可塑剤を放散量として規制していません。F☆☆☆☆の星の数には、まったく関係しないのです。「F☆☆☆☆だから安心」と「体に残りやすいものが使われていない」は、別の話だと、覚えておいていただきたいと思います。


おもちゃでは規制、家では野放し

ここで、世界と日本の規制の動きを少しご紹介させてください。実は、先ほどの可塑剤、おもちゃや食品容器では、とっくに規制の対象なのです。

EU(ヨーロッパ連合)では、2018年に化学物質規則(REACH)を改正し、2020年7月から施行。フタル酸エステル類の代表的な4物質について、あらゆる成形品に0.1%を超えて含んではいけないという厳しい規制が始まりました。EU玩具指令でも6物質が対象で、子どもが口にする可能性のあるものから順に網がかけられています。2024年だけで、基準オーバーを理由に293製品がEU市場から撤去されたと報じられています。

日本も、遅ればせながら動いてはいます。2002年に厚生労働省の告示で、油脂性食品の容器包装にフタル酸エステルの一種(DEHP)を使うことが禁止されました。おもちゃについても規制があります。つまり、口に入るもの・乳幼児が舐めるものについては、日本でもEUでも、少なくとも一部の可塑剤は「使ってはいけない物質」と位置づけられているわけです。

ところが、です。

建材には、規制がありません。

口に入れるおもちゃや食品容器では「赤ちゃんに良くない」と認められている物質が、毎日何時間も触れる壁や床、ビニールクロスや塩ビ床材の可塑剤としては、今も普通に使われている。これが、日本の家の空気の現実です。

おもちゃは一日のうちほんの数時間、子どもが手に取って遊ぶ程度です。でも壁と床は、寝ている時間も含めて、家族全員が1日24時間ずっと接している面積のいちばん大きな「建材」です。どちらが影響が大きいかは、冷静に考えれば明らかなのではないかと思います。

私は、この事実を知ったとき、建築士として素直にショックを受けました。だからこそ、お客様には淡々とお伝えしています。「国が決めた基準」だけを頼りに家を建てるのは、いま時点ではちょっと心もとないですよ、と。


「気持ち悪い」という体の声を大切に

空気がよどんでいる感じがして「なんだか気持ち悪い」「頭痛がする」「つわりがひどくなった」と感じた経験はありませんか。

その感覚、どうか無視しないでください。体からの大事なサインです。

特に敏感なのが、赤ちゃん・子ども、妊娠中の方です。体重が軽く、呼吸量が相対的に多い分、大人より化学物質の影響を受けやすい。脂肪に溜まるタイプの物質については、これから体をつくっていく時期の影響が特に気になるところです。

人間の嗅覚と体感は、本来とても優秀なセンサーです。数値には出ない微量な成分でも、「なんか変だぞ」と気づく力を持っています。その違和感に気づけている方は、センサーがちゃんと働いている証拠。どうぞご自身の感覚を信じてあげてください。

家は一度建てたら20年、30年と住み続ける場所です。食事が何より大切で、その次に、吸い込むものもある。口に入れるものを気にするのと同じくらい、吸い込むものも気にしていい。そう私は思っています。


漆喰は「吸って分解する」。深呼吸したくなる家を体感してほしい

では、吸い込むほうをどうすればいいのか。私たちがたどり着いたのは、壁の仕上げに漆喰(しっくい)を使うことでした。

漆喰は、石灰を主原料にした日本の伝統的な塗り壁材です。ビニールクロスのようにフタをする素材ではなく、空気を吸って、悪いものを掴まえて分解してしまう積極的な素材。顕微鏡で覗くと表面は孔(あな)だらけで、その孔が空気中を漂う化学物質や湿気、生活臭を吸い込み、壁そのものの働きで別のものに変えていってくれます。

国内の研究では、漆喰の部屋でホルムアルデヒドが約96.5%低減したというデータも出ています。ビニールで閉じ込めるのではなく、壁自身が空気を浄化する側に回る。この発想の違いは、住んでみるとじわじわ効いてきます。

そして大事なのは、そもそもビニール建材を家の中から減らすこと。これだけで、先ほどお話しした脂溶性の可塑剤と付き合う量は、ぐっと減らせます。

ここまで、F☆☆☆☆の話、水溶性と脂溶性の話、規制の話、漆喰の話と書いてきましたが、正直なところ、文字でお伝えできることには限界があります。空気は、吸ってみないとわからない。これが家づくりのいちばん難しいところで、いちばん面白いところでもあります。

このゴールデンウィーク、新緑の気持ちいい時期にあわせて、エスサイクル設計ではモデルハウスの見学会を開いています。玄関の引き戸を開けた瞬間、スッと肩の力が抜けるような、思わず深呼吸したくなる空気。匂いがしない、というより、空気が軽い。そんな感覚を、ぜひ体で確かめに来てください。

赤ちゃん連れ、妊娠中の方、アトピーやアレルギー体質の方、大歓迎です。スタッフは全員「その気持ち悪さの正体」を知っている人間ですので、安心してお越しください。

新築の匂いがしない家も、気持ち悪いと感じる家も、どちらも空気からのサイン。F☆☆☆☆の星の数の外側にある空気まで一緒に見て、深呼吸したくなる家を選んでいただけたら、これほど嬉しいことはありません。


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