注文住宅で地震に対する備えは耐震等級よりも免振性、制震性が大切なのでは?
2022/12/08
最近めっきり寒くなってきて、畑に行く機会も少なくなりました。今日の収穫はじゃがいも、レタス、ミニトマト、かぶ、だいこん、青梗菜です。
まだまだ未熟者でたいした野菜が出来ませんが、収穫は嬉しいものです。(笑
今日は緑区で進んでいる障がい者施設へ金物検査です。金物検査というものは、図面どおりに柱や梁を補強する金物が付いているかのチェックです。住宅と違って規模が大きいため検査の時間も住宅の4倍ほど時間がかかりました。
阪神大震災が起きた後に、木造建築は建物の継手(つぎて)や仕口(しぐち)に接合部の金物が強化されました。法改正があってからがちがちの金物ばかりの建物となりましたが、はたして地震に対して本当に良いのだろうかと思います。
南海トラフ地震がもうすぐやってくるといわれています。概ね100年~150年間隔で繰り返し発生している大規模地震です。
過去の南海トラフ地震を調べてみました。
白鳳(天武)地震 684年
↓ 200年後
仁和地震 887年
↓ 209年後
永長東海地震・康和南海地震 1096年・1099年
↓ 262年後
正平(康安)東海地震・正平(康安)南海地震 1361年
↓ 137年後
明応地震 1498年
↓ 107年後
慶長い地震 1605年
↓ 102年後
宝永地震1707年
↓ 147年後
安政東海地震1854年・安静南海地震1854年
↓ 92年後
昭和東南海地震1944年・昭和南海地震1946年
↓ 77年
現在2023年
先回の南海トラフが発生してから80年弱経過しています。最近の発生は100年~150年周期で起きていますが、全体の歴史を俯瞰してみると周期が短くなっているように思われますが、いつおきるかわかりません。「備えあれば憂いなし」です。
昔からある日本建築は元々建物が揺れるように出来ていて免振構造でした。免振構造とは地震の揺れを柱や梁で吸収して地震エネルギーが建物に伝わり難くした構造です。一方在来工法は耐震構造で地震の力に対して建物全体で地震の揺れに対抗しようする構造です。ツーバイフォーも耐震構造に含まれます。
法隆寺の五重塔は、免振構造で地震国日本で1300年以上経っているにもかかわらず残っています。また全国にある五重塔、三重塔はほとんど地震で倒れた事例がありません。
法隆寺の五重塔は1200tほどの重さがあるということです。こんなに古い建物が現存することは昔の匠が経験で知っていたのかはわかりませんが、今の建物より地震により倒壊しないことが本当に凄いことです。
柱は石の上に置いてあるだけで通し柱が一本あるだけ各層は独立しています。今の建築基準法で違法になってしまいます。(笑
地震時には各層がくねくね揺れて地震力を吸収します。
東京のスカイツリーは法隆寺の構造を真似て造られているということで有名です。法隆寺のように心柱をとおして建物の各層がタイミングがずれて揺れて地震力を吸収するような構造となっています。
現在の国の基準ですと、耐震性ばかりに重きを置きがちの家になるように、耐震等級ばかりを重きを置いています。けれど建物の免振・制震を考えることも大切に思います。
昔からある日本建築は免振性が考慮されていました。免振性・制震性を上げることも検討されると良いかと思います。
地震は何度か余震がある場合があります。1回目で建物が大丈夫でも、2回・3回と続けて来た時に対応するために免振・制震を上げることは有効です。
免振構造は基礎と建物の間に免振装置を付けて、地震時の水平力が直接建物に伝わらないようにした構造です。地震で地盤が激しく揺れても、建物と縁が切れていますので地盤からの地震力を受けず、建物に損傷を与えることが軽減されますがコストがかなり高くなります。
制震構造とは建物の柱や梁に制震装置を取り付けて地震エネルギーを吸収することで建物の揺れを軽減するものです。制震構造ですと免振構造と比較してかなりお値打ちに出来ます。それで安心感が得られるのであれば、ご検討する価値はあるかと思います。ただしゴム製のものは劣化しますのでお勧めしません。
耐震性の考えは専門的に構造設計をやっている人でも耐震性が重要だという方もいますので色々考え方があります。だから私の考え方が正しいとは思いません。けれど実際には古くに建てられて現存している木造建築があることは事実です。
昔からある伝統建築は地震にもろいという考え方ではなく、古いものの良いことろ、新しいものの良いところを融合させることができれば地震国に住む我々が安心して日々の生活が出来ることだと思います。
よく思うことですが、人間の体や心のしくみも建物と同じなんだなあ思います。いくら筋力があっても体が硬ければけがをしやすいですし、心が固すぎれば相手の言葉の真意が見えず、腹が立ったり、悩んだりしたり。または廻りが見えなくなったりしてしまいます。バランスが大切ですね。
ではまた!